★穂高山荘にて(奥穂高岳山頂を目指して⑤)★

チャック・スパ朗(Thuck sparrow)

2010年10月03日 20:52

黒い要塞にこそ、ブラック・パール号がある!!

そう信じて向かった俺だったが、その道のりは想像以上に険しいものだった…。
行く手を高い壁に阻まれ、断念した俺…。

もう今日は日が落ちてしまう…。


俺は、穂高岳山荘に戻り、そこで一晩の宿を借りることにした…。

穂高岳山荘は、基本的には予約はいらない。
ただし、混みあっているときには、それなりに狭くなるのは当たり前…。
食事も美味いし、山荘の中は快適だ\(^▽^)/

トイレも清潔(*^^)

くわしくはこちらで↓
穂高岳山荘公式HP
http://www.hotakadakesanso.com/


穂高岳山荘からは、雲を見下ろすことができた。

暖炉のまわりには長イスが置かれてあり、テレビ(地デジ)もみることができる。

長イスには、パイプから煙を燻らせている老人と、推定37歳くらいの男が座っていた…。

俺は老人に、黒い要塞のことを聞いてみた。

すると老人は口から煙をフゥとはき、俺の目を見てこう言った…。

老人「…お前さんは、ジャンダルムを見たんじゃよ…。」

俺「…ジャンダルム!?」

老人「…そう。ジャンダルム…。大きく天を貫く絶壁の岩壁…。ジャンダルムとは、フランス語で憲兵を意味する…。急峻な痩せ尾根の難所が続き、一歩間違えれば死の底へと転落してしまう…。およそ1年前には、その南側すぐ近くで遭難者救助中の岐阜県防災ヘリコプターが、岩壁に衝突して墜落し、3名が死亡した…。」

俺「そこに、海賊船ブラック・パール号が?」

老人「…わしは知らん…。ただ、わしが言えるのは命をムダにするな…。ということじゃよ。山を知らぬ者がジャンダルムに行ってはならん…。ましてやお前さんのような海賊が行けるところでは無い…。」

俺「しかし俺はジャンダルムに行かなくてはならない!!」

老人「…これを見ろ。」

そう言うと老人は自分のズボンの裾を捲り上げた。

その足は義足だった…。

老人「わしも若い頃はジャンダルムを目指したことがあった。しかし、このとおり足を無くした…。お前さんも同じ目にあいたいのか? お前さんは山のことを知らぬ海賊じゃ。足だけではなく手も失うことになるかもしれん。 そしてフックのような義手を付けることになってしまうかもしれんのじゃよ? それでもいいのか?」



…。


俺は、その姿を想像してみた…。




…手がフックのような義手…。

…!!!!!!
ダメだ!!
そんなことになったら、俺のキャラクターが変わってしまう!!\(;゜∇゜)/☆


老人「…わかったら、明日の朝には下界に向けて山を降りるがいい…。」

そう言うと老人はゆっくりと目を閉じ、寝息をたてはじめた…。


…。

俺はやりきれない思いのまま山荘の外に出た。



奥穂高岳は夕日に照らされていた…。

…太陽が雲の下へ沈んでいく…。



俺はその夕日を見つめた。

…やはり、ジャンダルムは俺が行けるようなところではないのか…。


しょせん海賊。
山の前では無力な存在なのか…?

…傷心のまま俺は夕日を見つめていた…。

そのとき、俺の横に並ぶ影があった。

さきほど暖炉の前のイスに座っていた、推定37歳くらいの男だ!

男は俺に言った。



「キャプテン・ジャックスパ朗。じいさんとの話しは聞かせてもらったよ。ジャンダルムを目指しているんだろ?」

俺「そうだ!」

37歳くらいの男「実は、俺もジャンダルムを目指している! …まだそこへたどり着いたことはないけどね…。」

俺「アンタもジャンダルムを?」

男は笑顔で頷いた。

俺はその男を見た…。
山の経験をいくつも持っている冒険者のようだ。

男「どうだジャック? 俺たちと共にジャンダルムを制覇しないか?

俺「…俺たち?」

男「そうだ! 仲間を紹介しよう!! 来てくれ!」

俺がついていくと、男の仲間たちは山荘の外で酒を飲んでいた。

男は俺を仲間に紹介した。

仲間たち「ジャック・スパ朗? ジャンダルムに行きたいのか? 俺たちはいくつもの山を登っている。しかしこんなところであんたのような海賊に会うのは初めてだ!! 面白い(*^^) 一緒にジャンダルムを制覇しようじゃないか(*^o^*)」

俺は頼もしい仲間を得た思いで冒険者たちを見た。

冒険者たちは、推定37歳の男を含めて4人…。

しかし…。

その中にはがいた!!

俺「女!? 女はダメだ!! 女を船に乗せると災いを招くと言われている!! それと同じでパーティーの中に女がいたら…。」

しかし、女は俺が言い終わらないうちに素早い動きで俺の腰から剣を抜き、俺の喉元に突きつけた!!


女「少なくともアンタより私の方が山を知っている!! バカにするんじゃないヨ! ジャンダルムを制覇するにはきっと私の力が必要になる!!」

メンバーたちは頷いて俺を見ている…。

俺「…俺の間違いだった!! 明日はこのメンバーでジャンダルムの地に立とう!!」

冒険者たち「よーし!! 決まった!!\(^▽^)/ ジャック!! お前も飲めよ!!ヽ(=´▽`=)ノ」

そして俺たちは、5人のパーティーとなり、酒を酌み交わしたのだった。

…つづく


関連記事